久世建二 落下/痕跡
2006/10/19 - 11/5

目に見えないものを見えるようにすること
□粘土と私の関わりの中から現れてくるその表情は無限である。道具が介在したり,手と粘土との触れ合いの中で様々な形や肌合いが目前に現れてくる。それも,ありふれたものではなく,誰も今まで表現したことがないものを求めて,試行錯誤を繰り返している。
□ある時,幾何学的な形状をした軟らかい粘土の塊を目の高さから地面に落としてみた。それは,一瞬の出来事であった。なんと無機的な粘土の塊がまるで有機的なまるで生き物のように変身を遂げたのである。落下シリーズの始まりであった。作品が出来上がる過程で作者の手から離れたところで成立することにも独創性を感じた。痕跡シリーズの場合は,ヘラやワイヤーエンドを使って粘土を掻き出したり,貼り付けたりと,ありふれた技法を使っていても,結果的には他に類のない形や独特な表情を創り出すことに腐心している。
□粘土がすでに記憶している造形的表現力を1つでも新たに人の目に見えるようにすることが私の仕事だと思っている。
(久世建二)